北九州市立大学同窓会

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鹿児島支部

ツルの保護の熱い想い後世に
故 古賀一夫教授「辞世の句」歌碑に1万羽舞う出水市に同級生が建立

  鹿児島県出水市に越冬のため毎年シベリアから飛来してくるツルの調査・研究、保護活動に尽力した北九州市立大学の故 古賀一夫教授(生物学)を称える歌碑が平成21年11月、古賀教授の意志を引き継いだ同窓生の手で、同市に建立された。除幕式には古賀教授の親族、同窓生、地元の関係者らも出席し、古賀教授の功績を称えた。
古賀教授は昭和32年ごろから出水市に通いツルの調査に取り組んでおり、研究室に出入りしていた西田智さん(米英、S38)、山口馨さん(商、S35)、城戸光榮さん(商、S35)らが34年、「北九州大学ツル研究会」を結成。35年1月17日に古賀教授の指揮のもと、ツル保護監視員、地元の中学生らと合同でツルの一斉羽数調査を実施した。
古賀教授は一斉羽数調査を出水市長にも働きかけ、市からジープ1台を出してもらい、市職員の参加も実現した。古賀教授の活動はその後も続き、ツルの保護施策の陳情や進言を活発に行った。一斉羽数調査は地元中学校に「ツルクラブ」ができ、現在も引き継がれている。
35年の一斉羽数調査では421羽を確認した。古賀教授らの進言が実を結び、地元の保護意識が高まり、飛来数は年々増え、最近では13年連続で1万羽を超えるツルが飛来してきている。ツル生息の環境づくりに尽力した古賀教授は、ツルの渡来地・出水の「礎」を築いたといわれている。
古賀教授は平成5年に亡くなったが、ツル保護を思う辞世の句2首を残している。

願わくは鶴去る頃に我往かむ  翅風に乗りてシベリアを観む
孫爺と出水の空をかけ廻り  ツル来る里を永久に守らむ

北九州市門司区に住む西田さんは出水市にもツル調査用の家を建てツルの観察・保護活動を続けているが、次の返歌を詠んでいる。

技術授け御霊となりて天翔ける  師の遺志嗣ぎて鶴を護らむ

 歌碑はツルの休遊地に隣接する西田さんのツル観察用自宅庭に建てられ、この3首を含む4首が刻まれている。除幕式はともに鹿児島県在住の城戸さんが司会を務め、山口さんが発起人会代表挨拶をした。西田さんは歌碑建設の経緯を説明し、「私が続けてきたツルの調査・保護活動は今年で51年になる。調査は継続しないと意味がない。古賀教授の遺志をついで余生をツルの保護に尽くしたい」と話した。
除幕は古賀教授の長男で兵庫県在住の古賀典篤さん(75)が行い、「父は自然保護の大切さを永年説いてきた。その思いが象徴的な出水市に根付き、歌碑が建立されて嬉しい」と、声を詰まらせた。出水市議会議長、出水市職員、鹿児島県ツル保護監視員、鹿児島県や北九州市の日本野鳥の会関係者も出席しており、古賀教授のツル保護に対する熱い想いを新たにし、「古賀教授の教えを引き継いで、ツル生息地の環境をよりよいものにしたい」と語っていた。
西田さんの自宅はツル休遊地に囲まれており、餌をついばむ姿が間近で見られる。それまで静かだったツルたちは、除幕式が始まるといくつもの群れになって上空を鳴きながら舞い、ツルの恩人・古賀教授の歌碑建立を祝っているようだった。「ツルの鳴き声は父の喜びの声に思えた」。古賀さんの言葉が印象的だった。

 

鶴10.jpg
【写真説明】
歌碑建立を祝う西田智さん、古賀典篤さん、山口馨さん、城戸光榮さん(右から)

 

(S45・国文 中村修一)