北九州市立大学同窓会

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関東支部

第9回 「歴史歩こう会」 −巡り会い−
湯島の白梅と東大界隈を訪ねて

 2月18日(日)、東京メトロ 湯島駅に7人が集まり、第9 回歴史歩こう会を開催した。最初に訪れたのは駅近くの 湯島天神。折しも梅祭りの真っ最中で境内の舞台では演 芸が行われ、別の場所では野点も催されていた。
 湯島天神は菅原道真公(845〜903)を祭神としている。 道真公が京都を離れる時に詠んだ「東風吹かば 匂い起こ せよ梅の花 主無しとて 春な忘れそ」の和歌は有名で道 真公と梅の花は切り離せない。道真公は平安時代の学者 であり政治家でもあるが、藤原時平に誣告され太宰府に 左遷され、そこで没する。死後、京都では異変が続き、道真 公左遷に関わった者たちが次々と没したため、朝廷は道 真公の魂を鎮めようと北野に天満宮を建立した。道真公 は学問の神様として今も受験生たちに崇められている。
 続いて訪れたのは麟祥院(りんしょういん)、ここには3 代将軍徳川家光の乳母を務めた春日局(本名:齋藤福、 1579?1643)が眠っている。父親は明智光秀の重臣・齋藤 利三(さいとう としみつ)で、羽柴秀吉を相手とした山崎 の合戦で敗北。後、捕らえられて処刑された。春日局は母 の実家で成長した。後に稲葉正成(いなば まさなり)の妻 と成る。正成の浪人中に、竹千代(家光)の乳母となり、64歳 で死去。辞世の句は「西に入る月を誘(いざな)い 法(のり) をゑて 今日ぞ火宅を逃れぬるかな」。
 次いで、東京大学の敷地に赤門から入る。赤門の正式名 称は旧加賀藩主前田家上屋敷御守殿門。安田講堂は富山 市出身の実業家であり、安田財閥の祖となった安田善次 郎氏が寄贈したものである。
 一行は東大の敷地を出て弥生美術館と竹久夢二美術 館に立ち寄った。弥生美術館には画家 高畠華宵(たかば たけ かしょう、1888?1966)の作品が展示してあるが、こ れだけ妖艶な女性画を男がよく描けるものだと感動する。 竹久夢二美術館に展示してある作品は、いずれも描かれ ている女性の顔が可愛い。両美術館から少し離れた場所 に弥生式土器発掘調査碑がある。明治17年、ここの貝塚か ら土器が発見された。東大の坪井正五郎、白井光太郎、有 坂?蔵の3人は縄文式土器と違う事を発見し、地名の弥 生を取って弥生式土器と名付けた。
 一行が最後に訪れたのは、東大農学部構内に最近建て られた銅像である。忠犬ハチ公が上野英三郎博士を渋谷 駅に出迎えている様子は気持ちをとても暖かくさせてく れた。

森光盡一郎(S49・中国)

北友会会報第118号(平成30年7月15日発行)掲載