北九州市立大学同窓会
支部組織
関西支部
第22回 コスモス会
中野秀子さんの「箕面留学生の家」の話に感動
久々に積雪が見られた2日後の2月16日、第22回コスモス会が
例年通り新大阪ワシントンホテルプラザ23Fの「チャイナテーブ
ル」で開催されました。当日は雪の影響はなかったものの、大道久
美子関西支部長(S45・英文)が、過日の雪道での足首骨折という
事故のため急遽欠席となりましたが、初参加の小玉きよみさん
(S51・国文)をはじめ同窓会本部から柳喜久子幹事(S48・英文)、
大阪大学吹田キャンパスに留学中のベトナム人グエン タオさん
(写真前列中央)を迎え、総勢13人でにぎやかに始まりました。
まず、中野秀子さん(S44・米英)より「留学生と共に30年」と題し
た話を伺いました。1984年、中野さんご夫妻は大阪府箕面市に個室
12、大きな勉強部屋と台所を備えた「箕面留学生の家」を建てられ、
はじめは男子学生のみ、3年目からは女子学生も受け入れるよう
になりました。
1984年当時は日本への外国人留学生総数は12,000人程度、2013
年には14万人近くになりますが、国費、外国政府派遣の留学生は
2013年でも12600人程度で、私費留学生が圧倒的です。そして留学
生総数のうち実に78%が民間宿舎、アパートなどで暮らしていま
す。そういう宿舎のひとつとして「箕面留学生の家」の存在があり
ます。しかし、単に「宿舎」としての役割にとどまらず、「日本の生活
を楽しんでほしい」という気持ちで留学生と接してこられたこと
が、巣立った学生の内100余名との交流が今なお続いている何より
の証しです。
「留学生それぞれの国の文化、状況を知り、真心をもって接すれ
ば必ず気持ちが伝わる、本音が出てくる」という中野さんの言葉か
らは、自然体で取り組んでこられた30年の重みが伝わってきます。
以前は家の中に公衆電話があることで、それぞれの生活の様子
がうかがえたのですが、携帯電話、コンピューターの普及と共に部
屋にこもる学生のプライベートなことが把握できなくなり、そんな
状況を打開するためにもいろいろな集会や祭りに一緒に出かけた
り、山歩きをしたり、毎週末には一緒に食事をしたり、地域の運動
会に参加したりと、エネルギッシュに動いてこられました。
持参された留学生との食事風景の集合写真にはそのときどきの
全員の笑顔と共に、年を経るご夫婦の笑顔もしっかりと写り、ここ
にも30年の重みを感じました。
1997年にはテレビ東京が「除夜の鐘」から春の新入生歓迎の「た
けのこ狩り」までを取材、ドキュメンタリーとして放映したそうです。
いよいよ今年で、その30年の歴史に幕を閉じられますが、「若者
と交わって楽しく過ごせた事がエネルギーの源となっている。寮
を閉じても巣立った本人や家族がゲストとして来日すると思う。」
という中野さんがとても印象的でした。その最後の住人の1人が
今回参加のグエンさん。彼女の話す言葉は小鳥の囀りのような響
きで、聞く方も心優しく穏やかになれる不思議をも体験しました。
続いて食事が始まり和やかな雰囲気の中、参加者の近況を話し
たり、本部の柳さんから大学や学生の現状も伺い、名残を惜しみな
がら来年の再会を約束してお開きとなりました。
北友会会報第110号(平成26年7月15日発行)掲載