北九州市立大学同窓会

HOME > 支部組織 > 関東支部 > 支部のご案内

支部組織

関東支部

第3回「坂東鏡の会(歴史歩こう会)」
-「野菊の墓」の舞台・矢切を訪ねて-

 12月18日(土)、森光盡一郎氏(S49・中)が主催する歴史歩こう 会「坂東鏡の会」が開催された。うららかな初冬の日光が降り注 ぐ中、山梨県から参加の清水恭輔氏(S35・商)を始め、8名の参 加者がJR松戸駅に集合。一行は先ず「戸定が丘歴史公園」に向か う。戸定邸は水戸藩最後(11代)の藩主、徳川昭武(第15代将軍徳 川慶喜の弟)が松戸の別邸として作られた。大名の下屋敷ながら 華美な装飾がされておらず、自然に溶け込んでいるような佇ま いです。しかし、最高級の杉の柾目材をふんだんに使い、旧大名 の住まいにふさわしい重厚さと気品を備えている。一点豪華主 義と言うと違う気もするが、金をかけるところにはかけるとい うのがはっきりしていて、徳川昭武のこだわりが感じられる屋 敷で土台もしっかりしているので、後100年は持つ作りになって いるそうである。1884年(明治17年)に完成した後は、昭武の隠居 生活の場として使われた。

 明治30年代には昭武の実の兄である、元将軍徳川慶喜が何度 か訪れ、共に趣味の釣り、狩猟、写真撮影などを楽しんだという。

 公園内の歴史館には当時昭武が撮った写真が展示されている。 続いて一行は今回の主目的地の矢切地区までバスで移動、最初に 「矢喰村庚申塚」を訪れた。ここは下総の国府が近くにあったため に里見氏と北条氏の合戦を含め、記録に残る大きな戦いが七度 あったといわれ、二度と再び戦いの来ない平和を願って先祖の供 養のため周辺の街道すじに庚申塚が建てられたが、それを現在地 に集約したもの。続いて矢切が舞台に書かれた伊藤左千夫の純愛 小説「野菊の墓」を記念し、建てられた野菊の墓文学碑を訪ねた後、 北総鉄道の矢切駅構内に展示してある「矢切の渡し舟」を見学。続 いて再びバスに乗り、市川市の国府台にある里見公園に向かった。

 里見公園は春の花見の名所として知られ、15世紀にこの地に 太田道灌が仮陣を置き、弟の大田資忠らが国府台城を築いた。そ の後、16世紀に里見氏・後北条氏の間で2度にわたる国府台合戦 が戦われた。園内には石棺の露出した前方後円墳や国府台合戦 の伝説を伝える「夜泣き石」、北原白秋の旧居「紫烟草舎」等が 残っている。

 里見公園の散策を終えた一行は、バスで市川駅に向かい、駅前 の居酒屋で足の疲れと喉を癒して散会した。次回の開催は4月下旬の予定。

児森進作(S42・商)