北九州市立大学同窓会

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支部組織

大分支部

支部だより

令和3年1月吉日
大分支部長・千綾奉文

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年の年明けに、いったい誰が今のような状況を予見し得たでしょう。
 世界規模で新型コロナウイルスが蔓延し、医療崩壊・経済破綻等々、日々のニュースもその話題で持ちきりです。
 そうした厳しい経済状況の中、私たち大分支部の仲間、木原寿彦氏が社長を務める大分市のベンチャー企業、空気環境対策のための紫外線照射装置を製造販売しているエアロシールド社が全国的に注目されています。大分県内でも昨年暮れ、大分空港ターミナルに設置され大きく報道されたそのニュースに私たち同窓生も大変うれしい思いで接しました。若きベンチャー起業家・木原寿彦氏に聞きました。


― 11月初旬、大分空港ターミナル内に45台ものエアロシールドが設置されメディアでも大きく取り上げられました。公共インフラの第一歩ですね。
 木原:全国に先駆けて、大分空港で紫外線照射装置「エアロシールド」を導入いただいたことは、大変ありがたいことだと思っています。大分空港では現在、搭乗待合室やラウンジ、中央監視室、航空会社事務室などに合計45台の エアロシールドが設置されています。
 「空気環境対策を社会のインフラにしていきたい」という思いは、私が長年発信し続けている思いですが、コロナ禍の影響を受けて、公共交通機関や行政機関など、公共の場においても、エアロシールドによる空気環境対策の導入が非常に加速しています。

― これまでも公共施設や病院、給食センター、ホテルなどに設置され高評価を得ていますが今年に入ってからのこの新型コロナ拡大では特に注目されているようです。

 木原:新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京ドームやJRの司令室、放送局のスタジオや市役所の会議室など、様々な空間に弊社の空気環境対策を導入していただいています。しかしながら、私たちは、平時から感染症対策をすることの重要性を10年以上も伝え続けてきました。「空気環境の改善」、そして「環境衛生に関する正しい意識啓蒙」は、現代社会における社会課題だと私たちは捉えています。
 今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの人たちが感染症によってどれだけ経済損失や、社会活動の停滞、また身体的・精神的な不安や苦痛をもたらすかということを実感していると思います。私たちが思い描いていた理想とは異なりますが、社会の意識が変わったことで、私たちの事業も社会に強く求められていると実感しています。

― 世界の空気をうつくしく≠フ「エアロシールド」とは (特徴と効果)

 木原:私たちは、人がいる空間で24時間365日安全に、空気中のウイルス対策や細菌対策ができる紫外線照射装置「エアロシールド」を開発、販売してきました。エアロシールドは、高さ2.1m以上に設置し、天井面に紫外線照射ゾーンをつくり、自然対流で空気が循環することによって、空間全体の空気を対策できるという製品です。今までに約8000台以上、1000施設以上の介護施設・保育園・幼稚園・食品工場・オフィス空間、医療機関、薬局などに導入し、実空間での実証実験なども重ねています。
 私たちが開発した「エアロシールド」は、「身近にいる大切な人を守りたい」という素朴な願いから生まれました。その思いを日本中、世界中へと広げ、感染リスクのないうつくしい空気を届けること。そして、すべての人が心身ともに健康に暮らせる社会に貢献することが、私たちの使命です。

― 開発の発端は

 私の祖父が入所していた老人ホームの入所者の中で肺炎に罹患する方が多かったという経験がきっかけです。室内の空気を採取し、細菌を可視化してみると感染症の原因となるさまざまな菌が浮遊していることがわかりました。感染症の感染経路は大きく分けて、接触感染、飛沫感染、空気感染の3つですが、手を洗う、うがいをする、マスクをするなどの接触、飛沫に対する対策は認知されているものの、空気感染に対する対策は認知されていませんでした。そのため、空気中のウイルス対策や細菌対策ができる紫外線照射方式を採用したエアロシールドを開発しました。

― これから先の事業展開や目指す方向は

 木原:空気環境対策が当たり前になる未来をつくっていくことを目指しています。このような未曾有の事態でも稼働せざるを得ない、社会インフラや公共機関、医療機関や薬局、介護施設や保育園・幼稚園などはもちろんのこと、3密を避けなければいけない空間と考えると、飲食店や商業施設、オフィスやビルなどすべての空間に対策が必要です。そのためには、今までの様々な空間での導入実績も活かしつつ、新しい空間や場所に合わせた開発なども必要と考えています。例えば、現在すでに開発・導入されている救急車に搭載できる紫外線照射装置などもあるのですが、電車やバス、タクシーなど公共交通機関などにもさらに広げていければと考えています。
(写真は2020年2月10日、「 STOP感染症2020戦略会議 」から)

― 日本中を飛び回っている中、一昨年6月に結婚、昨年は子どもさんも生まれ大変な年だったでしょう。
 木原:そうですね。プライベートでもここ2年で大きな変化がありました。私個人の使命としては「大切な人が心身健康に暮らせる世界をつくる」ということだと思っているので、大切な人が増えたことは私にとってとても重要なことだと感じています。家族や友人だけでなく、見知らぬ人に対しても「思いやり」の持てるような社会をつくりたい。今取り組んでいる空気環境対策の事業も本質的には、この「思いやりのある社会をつくること」につながっていくと考えています。

― どんな大学生でしたか (現役学生にアドバイスがあればどうぞ)

 大学時代は、ラグビー部で素晴らしい仲間に恵まれました。今でも生涯の友人だと思っているのですが、その時に仲間と共に一つの目標を達成する喜びや楽しさを学んだような気がします。今の会社経営でも、社員が一つのチームとして、一人ひとりが活躍できる方法を日々考えて邁進しています。
 アドバイスというのは難しいですが、一つの道に徹して、決して諦めないことは、必ず自分に返ってきます。私も大変な時や苦しい時が何度もありましたが、その経験をしたことで「自分を信じてあげる」ことの大切さに気付きました。何かこれは「自分がやらねばならない」と思えることに出会ったら、どんなに苦しくても諦めそうになっても、自分を信じ、諦めずに続けていけば必ず光が差すと思います。

 
木原 寿彦(きはらとしひこ)
1983年生まれ。H17年,北九州市立大学・経済学部卒業後、セブンイレブン・ジャパンに入社。2008年にシールドテック(現エアロシールド)に入社、専務就任後、現在は社長
エアロシールド株式会社
大分市木上394-12 
Tel: 097-588-8120
HP: http://www.aeroshield.co.jp