北九州市立大学同窓会

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支部組織

岡山県支部

旧津山支部の記事

津山というところ

黒瀬 重喜
草地 淳雄

この地域の中心はやはり津山市である。津山市は人口9 万人の地方都市である。市街地のほぼ中央に国指定史跡の津山城跡があり、みごとな石垣が残っている城下町でもある。この城下町の礎は慶長8 年(1603 )に美作津山十八万六千五百石の国主に封ぜられた森忠政(森蘭丸の末弟)によって築かれた。その後、森氏は4 代で改易となり、元禄11 年(1698 )松平氏が入封、以後9 代を数え、明治を迎えるのである。幕藩体制の時代に、この町がこの地域の政治経済文化の中心であったように、明治になってもこのことに変わりなく、やはりこの地域の中心である。

津山城は明治6 年(1873 )、民間人に払い下げられ、天守閣をはじめ大半の建物が撤去された後、明治33 年(1900 )、当時の津山町当局や町議会、町民の努力で城地が確保され、城跡を「鶴山公園」として公開した。現在ではソメイヨシノを中心におよそ5,000 本の桜があり、西日本有数の桜の名所になっている。また、園内の一角には津山出身の歌人・尾上柴舟の「生ぬくきにほひみたせて山ざくら咲ききはまれば雨よぶらしも」の歌碑、同じく津山出身の俳人・西東三鬼の「花冷えの城の石垣手で叩く」の句碑もある。

城跡から北約600 メートル、津山市役所のすぐ近くに回遊式大名庭園の「衆楽園」がある。明暦年間に仙洞御所の庭園を模して造営され、明治3 年、松平氏最後の藩主・慶倫が「衆楽園」と名付け、広く庶民に開放した。

中央の池を取り囲んで多くのツツジや皐月が群落をなし、時期ともなればそれらが絢爛と咲き誇り、池に臨んでは、山口誓子が来津のおり「糸桜水にも地にも枝を垂れ」と詠み、句碑に刻まれている糸桜(枝垂れ桜)が優美な姿を水面になげかけ、夏には池の面いっぱいに睡蓮が濃い緑の葉を広げ、その上に白い花を咲かせている。

園の東は宮川を隔ててなだらかな丘陵を望み、西には中世の山城跡の神楽尾山、南は津山城跡、北には那岐山、泉山などを借景に取り込んでいる。造営当初に比べて、現在の規模は三分の一になっているそうだが、四季折々の風情はまた格別で、今でも市民の憩いの場となっている。邦楽の演奏会、お茶の会、吟行、花見、月見などと利用者が大変多い。また、明暦時代からの建物といわれている茅葺き二階建ての余芳閣からの眺めは園内随一で
あり、この二階の部屋を借り切って、雪の庭を愛でつつの宴会も一興であろう。

津山市以外の地域について少しばかり紹介をしておく。

南に位置する久米郡久米南町は、「川柳の町」として全国的に知られており、川柳の全国大会も開催されたことがある。町の四方の丘陵地に「川柳公園」を造成し、150 余基の愛好者の句碑が建立され、訪れる人を楽しませてくれる。

東の英田郡美作町には、岡山県美作ラグビー・サッカー場があり、シーズンともなると、大勢の選手の喚声に包まれる。また、この近くには湯郷温泉があり、京阪神からの客も多い。苫田郡奥津町の奥津温泉、真庭郡湯原町の湯原温泉と合わせて美作三湯という。また、鳥取県と境を接している大原町は、剣豪・宮本武蔵の出身地として有名である。

北の勝田郡には那岐山の麓に浄土宗の開祖・法然ゆかりの菩提寺があり、その境内には、樹齢700 年とも800 年ともいわれる銀杏の樹がある。秋になると、ひときわ鮮やかに黄葉し、遠くの方からでも目につくようになる、みごとな大樹である。

西の真庭郡には県境となっている蒜山(ひるぜん)がある。この地域は大山隠岐国立公園の一部となっており、広々とした草原の中にジャージー乳牛が草を食べている風景はまことに悠揚迫らぬものがある。蒜山は三つの頂からなっており、そのひとつ中蒜山の麓には「名水百選」に選ばれた「塩釜の冷泉」が湧きだしていて、岡山県の三大河川の一つ、旭川の源ともなっている。夏期には2万人近くの避暑客が県の内外から訪れ、キャンプや登山を楽しんでいる。また、この頃の高原湿地にはユウスゲが咲き乱れ、ウスイロヒョウモンモドキの緩やかに飛ぶ姿に出会うこともある。この蝶もめっきり数が減り、今ではこの蒜山あたりでしか見かけなくなってしまった。

この高原は岡山県有数の豪雪地域であり、冬期にはスキー客が多勢集まってきている。ゲレンデがなだらかで、近年は特に親子連れといったファミリーに人気が高まり、週末ともなると子供の歓声に包まれるようになっている。

岡山支部から分離、独立

平成2 年5 月に開催された岡山県支部の総会で、同窓生の増加などをも視野に入れ、今後は、岡山、倉敷、津山の3 支部に分かれ、それぞれの地域にあって、同窓会支部活動の活性化、同窓生相互の親睦を図るとともに、同窓会の発展に寄与しようということになった。

津山支部は、遠藤昌澄(38 ・米)を支部長として、県の東北部の1 市5 郡(津山市とその周辺の英田、勝田、苫田、久米、真庭の5 郡)に在住する同窓生約40 人を会員として組織されている。しかしながら、地域が広範にわたっているため、年1 回の支部総会の開催もままならず、互いの親睦が深まり得ないのが現状である。3 支部に分かれた当初の目的が達成できないことを残念に思っている。会員はそれぞれの地域・職場などで活躍している。

同窓会50 周年記念誌であるからこそ、本来は会員全員の方々の活躍を紹介すべきであるが、全員の動静を掌握し切れていないこともあり、また会員の方々の紹介に遺漏があったのではかえって礼を失するとも考え、無礼であることを承知の上で、この機会をお借りして、津山支部の地域の紹介をさせていただくことにする。